この建物は、前面道路を近隣の人々が比較的頻繁に行き交い、顔をあわせると声を掛け合う、 昔ながらのコミュニティのしっかりした地域に位置します。
両親との同居を目的に、夫婦、娘2人の、2世帯3世代の計6人が暮らす住居として計画しました。
各世代の生活スタイル、趣味はバラバラです。 そこで、各世代の個性を大切にしながら“個々の場”を提供しつつ、皆が集うリビングや中庭といった“家族の場”と、それぞれの距離感をコントロールすることで、世代を意識させずに自然とつながる空間としました。
風格の外観
道路から一歩退き単純形態ながら風格のある存在感となっています。
飛び出した庇はコールテン鋼の浮いた屋根を持つ自転車置き場。
夜には格子を通して行灯のように優しいひかりが建物の風格に色を添えます。
さびた鉄板(コールテン鋼)の屋根。
完成時は黒い鉄の板でした。
迎え入れる玄関ホール
シンプルスタイルの中で小物たちがお客様を迎え入れます。
このシンプル空間が小物たちを自由に生き生きとさせます。
-
- シンプルデザインの玄関ホール
2段の上がり框が親の世代にも
優しく出入りを可能にします。
-
-
- 玄関ホールからリビングに向かう通路には
楽しい小物達が迎えてくれます。
-
-
- ユーモラスな招き猫がほっとした
気持ちにしてくれます。
両親の”場”(タタミルーム)~はなれのような部屋~
飛び石のアプローチで離れの部屋を演出し、他の空間とは一線を課した特別な場として位置づけました。
しかし、中庭を介しながら、“家族の場”とつながる事で孤立することなく、お互いがつかず離れずの関係をもたらしています。
-
- 両親の”場”(タタミルーム)へのアプローチ。
杉の格子天井と飛び石が離れの空間へと誘います。
-
- タタミルームから中庭の眺め。
リビングやダイニングと中庭を介して
つながります。
-
- 中庭とひと続きのタタミルーム
中庭タイルとフラットレベルの縁側。
テラスで遊ぶ孫たちを縁側から眺めます。
家族の”場”(リビング)~つながりを持たせる部屋~
LDK+中庭で2世帯3世代が集う家族の”場”のうちのリビングスペース。
この空間は2階ライブラリとも吹き抜けを介してつながり、両親の”場”のタタミルームや娘たちの”場”である子供室と絶妙な距離感でつながりを持ち、いつでも家族の気配が感じられます。
-
- 最高高さ約7mの大空間リビング
外断熱+床暖房+シーリングファン(天井扇)の組み合わせが
吹き抜けの大空間にも快適環境をもたらします。
-
- テレビの壁の向こう側が
タタミルームへの
飛び石アプローチ。
-
-
- 空間を彩るニッチ(飾り棚)
単調になりがちな壁面にはニッチを。
絵を飾るだけでなく、小物たちも飾れます。
-
- つながる中庭
リビング、ダイニング、キッチンさらにタタミルームまで
中庭を核としてつながります。
室内にひかりをもたらすだけでなく、家族のつながりも
引き出してくれます。
家族の”場”(キッチン)~つながりを持たせる部屋~
お母さん、奥さん、娘さん、3世代が同時に作業可能な大型キッチン。
開放的なアイランドキッチンは長さ3m奥行き90㎝、背面にはダイニングまでつながる長さ6mのカウンター。
存在感ありながらもリビング、ダイニングとも一体となりとけ込んでいます。
![]() |
キッチンはクッチーナの特注品。 |
-
- 機能性を配慮したキッチン。
「魅せる」だけがキッチンの役目を
果たしているとは言えません。
家電、ゴミ箱の位置、引き出しの大きさ、
コンセントの有無等、打ち合わせを重ねた
結果が、最良の機能性を発揮します。
家族の”場”(ダイニング)〜つながりを持たせる部屋〜
メインの開口部は西向きの中庭に面した窓だけ。
吹抜とトップライトを介したやわらかなひかりが、朝からダイニングに降り注ぎます。
お母さん達が中庭を眺めながらおしゃべり。
中庭をのぞむ。
向こうにはタタミルームが。
家族の”場”(ライブラリ)〜つながりを持たせる部屋〜
1階リビングと吹抜でつながる、夫婦と娘さん達のフリースペース。
ご主人は仕事、奥さんは趣味のトールペインティングや洗濯等の家事、娘さん達は勉強や遊び等、親子のコミュニティースペース
となっています。ロフト部分には本棚が。
-
-
- 趣味、家事、仕事、勉強のコーナー
趣味の道具や書籍、
左端には洗濯機が隠れています。
日常生活が凝縮したスペースとなっています。
密接な関係の子供室。
この距離感が子供達を部屋こもらせることなく、
ライブラリが活躍します。2階テラスとも一体的に。
夫婦の”場”(主寝室)〜屋根裏部屋のような部屋〜
この建物の一番高いところにあり、家族の関係とちょっと距離がおける屋根裏部屋のよう。 ガラス壁の向こうはダイニングとつながるトップライト。朝日を感じ、ダイニングの気配も感じます。
娘たちの”場”(子供室)〜控え室のような部屋〜
部屋の広さは勉強と就寝が出来る範囲にとどめ、隣接したひろいライブラリーが自然と子供たちの空間になります。
ライブラリーでは、主人が仕事をしたり、奥さんが家事や趣味の作業をしたり、親子が自然とあつまるコミュニティースペースにもなり、娘たちの部屋は控え室のような部屋となり、その中で2人の好みの飾り付けが自由になされています。
![]() |
![]() |
![]() |
2人の部屋の仕切り壁はありません。 |